SPECIAL INTERVIEW
執行役員 高知本店所長 田所秀隆

警備士としてスタートし、現在、高知本店のトップとして多くのスタッフを束ねる田所氏。
現場の仕事を経験した立場からも、社内や業界全体がさらに良い方向に進んでいけるよう、奔走しています。
入社当時から現在に至るまでの経緯なども含め、お話を聞きました。

-入社したきっかけは何ですか?

田所:入社は平成16年。前職を辞めて1年ほどが過ぎ、求人雑誌で次の仕事を探していた時、そこに載っていたひときわ目立つ広告に目が留まったのと、「日払い」の条件にひかれたのがきっかけです。それまで警備士の経験はなかったですね。

-入社当時の労働環境はいかがでしたか?

田所:当時はだいたい毎日、朝六時半頃事務所に集合して現場に移動、事務所に戻ってくるのが夕方六時頃。もちろん賃金も今よりかなり安いですし、移動時間にはもちろん手当てはつきません。

 建設現場ではいわゆる「突貫工事」ばかり。工期を急ぐので、作業時間も長く、業者さまに言われるがまま次の現場、次の現場へ。どこの警備会社もそれが当たり前でした。

-当初はそんな労働環境に不満もありましたか?

田所:「それが当たり前」という風潮が根強く、不満を持ったところで現状が変わるとは思っていませんでした。また、当初は警備士というのは「ただ立っていればいい」と思っていて、そういう仕事の仕方をしていました。1日がすごく長く感じられ、仕事もおもしろくはなかったですね。それが、始めて数か月が経った時、ある大きなイベントの警備を担当したのを機に、仕事への取り組み方がガラリと変わりました。

 イベント会場では、来場者様とまず初めに接するのが警備士。身だしなみを整え、笑顔で挨拶。車や歩行者の様子に気を配り、臨機応変に対応する。そんなことを心がけながら仕事をしたことで、多くの方が快く誘導に従ってくれました。また、それだけでなく「ありがとう」「頑張っちゅうね」と、声までかけていただいて。その時に「こちらがきちんとした対応をすれば、相手もそれにこたえてくれるんだ」と気づき、現場でも実践していきました。警備がスムーズだと工事も滞りなく進むので、建設会社さんからの信頼も増し、しばらくすると名指しで依頼されるように。「もっと期待にこたえたい」という思いが芽生えましたね。

-そういった仕事への意欲や姿勢が認められ、平成23年には高知本店の所長に任命されたわけですね。所長として、どんなことに取り組んでいますか?

田所:副所長、所長、執行役員と任されるにつれ、スタッフの育成などの業務と同時に、労働環境や待遇の改善にも携わるようになってきました。

 私が入社して10数年の間に、当社の賃金は40%ほどアップし、労働時間の正常化や有休の取得、寮の整備などが実現。四国トップクラスの待遇といわれるまでになりました。これは、当社の開発事業部が強い信念のもと、根気よく努力を積み重ねてきた結果です。また同時に、クオリティの高い警備が提供できるよう、スタッフの育成にも全力で取り組んできたからです。

 しかし、それでも2つの課題については、長年解消されないままでした。1つは、国が発注する公共事業の偏りから、年間で閑散期と繁忙期が出てしまうこと。そしてもう1つは、現場への往復移動時間が労働時間とみなされず、近郊と遠方の配属先で不公平が出てしまうことです。スタッフからも不満や疑問の声が多く、せっかく育ったスタッフが辞めてしまう大きな原因となっていました。私自身現場を経験した者として、現場の声は痛いほどよく分かりましたが、どうすることもできず・・。申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

-しかし、上村社長のインタビューにもあったように、ここ2年間でその長年の課題をついにクリアされましたね

田所:はい。この2つの問題については、社内で数えきれないほど話し合いを重ね、解決策を練りました。社長の話にもあったように、閑散期と繁忙期の解消については、四国連合警備業協同組合との協力体制もあり、現状、国主体で公共事業の平準化が進んでいます。また、現場への往復移動時間を労働時間としてもらうことについては、取引業者さまを1社ずつ回り、丁寧にご説明をして、ご理解をいただきました。これは、いわゆる業界の常識にメスを入れることになり、慎重に取り組むべき課題でしたが・・。それでもやはり解決しない限り長期的な人材の確保は難しいと判断し、思い切って改革に踏み切りました。

-では、御社の労働環境や待遇の整備は、100%整いましたか?

田所:長年かけて取り組んできたことがようやく実を結び、現在、会社として提供する労働環境や待遇は、98%まで実現できたと思っています。

 今後、取り組むべき課題は残りの2%。具体的な明言は避けますが、近い将来必ず実現させ、さらに働きやすい体制を整え、企業としても成長を続けたいと考えています。  

 

取材・文/森 絵理子 (2019年6月取材)