建通新聞に四国連合警備業協同組合の要望活動が記事になりました。

「交通誘導警備員の地位向上へ 四国連合警備業協同組合が要望活動」

 「交通誘導警備員の処遇改善は必須だ」―。四国4県の警備会社で構成する四国連合警備業協同組合(牛田稔代表理事)は、交通誘導警備員の地位を向上するため、仕事や現場の安定供給と賃金の上昇を実現しようと、国への要望活動に取り組んでおり、一部ではあるもののその成果が表れつつある。

 交通誘導の業務を担う警備会社は、各都道府県の公安委員会から認定を受けて業務を行うため、警備業協会が都道府県単位で存在する。また、協同組合も都道府県単位で複数設立されていたが、人手不足への手当てや大規模雑踏警備への対応が必要になる中で、「県境を越えて、より大きな地域での団結が必要だ」との声が上がった。そこで以前設立されていた徳島県警備業協同組合を基礎として四国の有志が集結し、2017年に四国連合警備業協同組合として新しく活動を開始。今年3月現在で組合員は37社を数える。

 警備業務の業態として、工事現場での交通誘導がその多くを占め、協同組合内でも主体となる業務であることから、国土交通省本省をはじめとする官公庁に対し「公共工事発注の平準化」と「公共工事設計労務単価の上昇」を要望する活動を継続して行っている。その実現により、仕事や現場の安定供給と賃金の上昇を実現することが目標だ。

 危険で過酷な業務を行う警備員が、家庭を持ち家族を養う一家の大黒柱となれるような業種にしなければならない。牛田代表理事はこの問題を「業界全体で変えていかなければならない課題」と捉えている。

 とは言え、要望して直ちに成果の出るような課題ではない。設計労務単価は毎年少しずつ上昇しているが、他業種との比較や現在の物価上昇率に照らして、十分なものとは言えない。さらには繁忙期と閑散期の差はいまだに大きく、決して安定しているとは言い難い状況である。

 このような状況を招いた一因は、「工事の発注者や元請け業者に対して、交通誘導警備員の処遇に関する声を上げる機会が少なく、待遇改善を求める警備会社も少数だった」とし、「過去の業界の無関心を反省し、この要望活動を通して少しずつ理想に近づけていくこと。そして10年後には大きな成果を残せるようにしたい」と多くの理事は声をそろえる。

 これまでの要望の結果、改善の兆しが見え始めている。ある組合員は、例年4月の稼働率が2割程度だったが、20年の同時期の稼働率は50%まで改善しているという。国土交通省の担当者の多くも要望内容には理解を示しており、訴えは浸透しつつある。一足飛びには良くならないが、多くの現場の警備員が「良くなった」と改善を実感できるまで、協同組合は今後も要望活動を継続する。(報道部=岡林正士)